「血圧が150を超える日が増えてきた…でも、薬を飲むほどなのかな?」
「160以上が出るとさすがに心配。でも、薬には抵抗がある……」
そんな戸惑いを抱える方は本当に多いものです。血圧という数字は、時にわたしたちの心を静かに追い込みます。わたし自身も、不調を抱えていた頃は“数字にふり回される感覚”に息苦しさを覚えていました。
でも大丈夫。血圧はあなたを脅かすための数字ではなく、体が送っている小さなメッセージ。そのサインを正しく読み解けると、恐れはやさしくほどけていきます。
この記事では、2025年の高血圧診断基準・薬を飲む目安・130/150/160の正しい意味を、最新のエビデンスに基づいてわかりやすくまとめます。
読み終わるころ、きっとあなたは「数字が味方に変わる感覚」を取り戻せるはずです。
2025年の高血圧診断基準はどう変わる?
結論からお伝えすると、2025年の高血圧診断基準は「140/90」から大きくは変わりません。
この数字は長年、日本人の体質や疾患リスクを踏まえて設定されてきた“土台”であり、大きく揺らぐことはないと考えられています。
ただ、わたしがとても重要だと感じているのは、ここ数年で「家庭血圧(135/85)」がより重視されるようになっていること。
これは日本高血圧学会(JSH)が一貫して発信している流れで、2025年以降の診断・治療の現場でも確実に中心になっていく考え方です。
なぜ家庭血圧が大事なのか?
それは、わたしたちの体は“リラックスしているときの状態”のほうが、本当の姿に近いからです。
病院では、白衣を見ただけで緊張したり、早歩きで来院したあとだったり、姿勢や会話の影響で、どうしても高く出てしまいます。
わたし自身、以前は病院で測るたびにドキッとしていました。
「また高かった…」「私ってやっぱりダメなのかな…」と、自分を責めてしまうことさえありました。
でも、家庭血圧をつけ始めて気づいたんです。
——体は思ったより素直で、思ったより落ち着いていたんだ。
WHO(世界保健機関)も「家庭での継続的な血圧記録が、もっとも正確で治療判断に有効」と明言しています。
つまり、あなたが朝・夜に落ち着いて測った血圧こそ、医療がもっとも大切にする数値なのです。
血圧は、天気のように日々ゆらぎます。
忙しい日、寝不足の日、塩分が多かった日、生理周期、季節の変わり目…すべてが数字に影響します。
だからこそ、「数字にふりまわされず、数字を味方にする」という姿勢が本当に大切。
数字はあなたを裁くためのものではなく、体が語るひとつの言語。
わたしはよく、血圧を「体のメッセージカード」と呼んでいます。
では、130・150・160 といった“よく見る数字”は、どんな意味を持ち、どう向き合えばいいのか?
あなたの心の緊張がそっと解けていくように、次の章でやさしく紐解いていきますね。
130・150・160の血圧はどう判断される?
血圧の数字を見たとき、多くの人がまず気にするのが、
「どこからが“危ない”なのか?」というラインです。
健診結果の紙に「150」「160」という数字が並ぶだけで、ドキッとしたり、心臓がギュッとつかまれるような感覚になる方も少なくありません。
でも本来、数字はあなたを責めるためのものではなく、「体が今どんな状態か」を教えてくれるサインです。
ここでは、よく目にする130・150・160という数字が医学的にどんな意味を持つのかを整理しつつ、
わたし自身がカウンセリングや学びの中で感じてきた「数字との上手な付き合い方」も一緒にお話ししていきますね。
130mmHg:守りたい“未来の健康ライン”
130mmHgは、「もう治療が必要です」というラインではなく、
“できるだけここで守っておきたい目標値”に近い位置づけです。
特に50〜60代になると、血管のしなやかさが少しずつ失われ、動脈の“ゴム”が乾いてくるようなイメージで、どうしても血圧が上がりやすくなっていきます。
そんな中で130台をキープできるというのは、それだけで血管の老化スピードをゆっくりにしてくれている、とても価値のある状態なんです。
アメリカで行われた大規模研究(SPRINT研究)でも、血圧を120台まで下げたグループは、
心血管疾患のリスクが明らかに減ったという結果が出ています。
もちろん「低ければ低いほど良い」という意味ではありませんが、
“血管をできるだけしなやかに保ちたいなら、130台をひとつの目安にしよう”という考え方は、世界的にも共有されている流れです。
わたしがいつもお伝えしたいのは、130を「ギリギリセーフ」と見るか、「未来の自分を守る合図」と見るかで、行動がまったく変わるということ。
130を少し超えたからといって慌てる必要はありません。体は日々ゆらぎます。
でも、そこで一度立ち止まり、
「毎日の小さな選択が、血管のしなやかさを育てているんだ」
と意識できるようになると、未来の安心がぐっと増えていきます。
わたし自身も、数字に落ち込むのではなく、
「じゃあ、今日のごはんや睡眠を少しだけ整えてみよう」という、小さな一歩に変えていくようにしています。
150mmHg:薬を検討しはじめる“分岐点”
150mmHgを超える日が続く場合、医学的には“治療をどうするか”を検討するラインに入ります。
ここからは、「生活改善だけで様子を見るのか、薬も選択肢に入れるのか」を、医師と相談しながら決めていくゾーンです。
まだ「即・薬」というわけではありませんが、次のような条件が重なると注意が必要です。
- 50〜60代で、すでに動脈硬化リスクが上がりやすい年齢に入っている
- 糖尿病・腎機能低下・脂質異常など、他の生活習慣病がある
- 肥満・喫煙・睡眠不足・強いストレスなど、負担要因が複数重なっている
これらのリスクがあると、同じ150でも「将来の脳や心臓への負担」が大きくなりやすいのです。
だからこそ、150台は、わたしの感覚では「体が本気で止まってほしいと言っている、黄色信号」のように感じています。
150という数字は、体が
「そろそろ生活を整えてほしい」「このままでは静かに負担が積もっていくよ」
と語りかけているサインのようなもの。
「数字の向こうで、体が静かにサインを送っている」
そのことに気づけた瞬間から、次の一歩はもっとやさしく踏み出せます。
「全部を完璧に変えなきゃ」ではなく、できるところから一つずつ変えていけば十分なんです。
160mmHg:薬が積極的に推奨される“Ⅱ度高血圧”
160mmHg以上は、日本高血圧学会(JSHガイドライン)で“Ⅱ度高血圧”に分類され、薬物療法が強く推奨される領域です。
このラインまで来ると、脳・心臓・腎臓などの重要な臓器にかかる負担が、一気に高くなると考えられています。
「まだ大丈夫」と見てしまうには、少しリスクが大きいゾーンです。
ここで誤解してほしくないのは、
「薬を飲む=負け」ではないということ。
わたしはいつも、160以上の方にはこんなイメージをお話しします。
薬は、あなたの体を縛る鎖ではなく、
「未来の体を守るための“盾”を一時的に持つようなもの」だと。
必要な時期に適切に使うことで、血管を守り、重い病気を予防し、長く元気に生きる可能性を高めてくれる道具なんです。
そして、ここがとても大事なところですが——
薬を飲みながら生活改善を続けることで、将来的に「薬を減らす・やめる」ケースも現実的にあるということ。
実際に、食事・睡眠・腸活・体重コントロールなどで体が変わり、医師と相談しながら薬が減っていった方を何人も見てきました。
「薬はあなたの未来を守る、もう一つの選択肢」。
そう捉えられた瞬間に、「飲むか・飲まないか」の恐怖から少し解放されて、
「どうやって自分の体を守っていこうか」という前向きな視点に、そっとシフトしていけます。
ここまでで、“130・150・160”という数字の意味が、少しクリアになってきたのではないでしょうか。
次は、多くの人が一番気になるテーマ——
「では、実際に“薬を飲み始める目安”はどこからなのか?」
について、ガイドラインとわたしの視点を交えながら、もう一歩踏み込んで解説していきます。
高血圧で“薬を飲む目安”はどこから?
「薬はどのタイミングで始めたらいいの?」
「150と160では意味が違うの?」
この迷いは、とても自然なものです。
むしろ、それだけ自分の体に真剣に向き合っている証拠だと、わたしは思っています。
薬を飲むことに抵抗を感じるのは決して悪いことではありません。
「一度飲んだら一生やめられないのでは…?」という不安が心をよぎるのも当然です。
でも安心してください。
薬の開始には医学的に明確な基準があり、あなたの未来を守るために用意された“選択肢のひとつ”なのです。
薬は「悪いもの」ではなく、必要なときに体を守ってくれる“防具”のような存在。
そのイメージが持てると、薬との向き合い方が大きく変わります。
基本の判断基準は「140/90以上が続く」こと
医学的には、まず140/90以上の状態が続き、生活改善をしても下がらない場合に薬を検討するとされています。
ただし、血圧は数字だけで決めるものではありません。
治療の判断には、次のような個別要因が深く関わります。
- 年齢(特に50代・60代)
- 糖尿病・腎臓病・脂質異常などの合併症
- 喫煙習慣の有無
- 肥満・強いストレス・睡眠不足
- 心筋梗塞や脳卒中の家族歴
これらのリスクが高いほど、血管の負担も増えやすくなります。
わたしはよくカウンセリングでこうお伝えしています。
「血圧治療は、今の数字を見るのではなく“未来のリスク”を予測して判断するもの」
だからこそ、同じ150でも薬が必要な人と必要ない人がいるのです。
数字だけではなく、その人の背景や体の状態を“まるごと”見て判断することが大切なのです。
150以上が続く場合:薬を検討する「黄色信号」ゾーン
150以上が慢性的に続いている場合は、薬を検討し始める大事なタイミングに入ります。
特に次のようなケースは要注意です。
- 50〜60代で心血管リスクが上がりやすい年代
- 生活改善を3ヶ月行っても血圧が大きく改善しない
- 家庭血圧が135以上で安定している
わたしの感覚では、150という数字は、体からの「このままだと負担が積もっていくよ」という静かなメッセージ。
背中を軽くトントンと叩かれているような、そんなサインです。
この段階なら、生活習慣の改善でぐっと下がることも多いので、
焦らず、でも放置はしない絶妙なタイミングです。
「数字の向こうで体が静かにサインを送っている」
この感覚を持てるだけで、行動がやさしく前向きに変わっていきます。
160以上は“Ⅱ度高血圧”:薬を積極的に開始するライン
160以上になると、日本高血圧学会(JSH)では“Ⅱ度高血圧”に分類され、薬物療法を積極的に開始すべき領域になります。
これは、「薬をすぐ飲みましょう」という圧力ではなく、
“脳・心臓・腎臓といった大事な臓器を守るために、早く介入したほうが安全です”
という体への思いやりです。
160台は、血管からの「そろそろ本気で守ってほしい」という緊急手紙のようなもの。
生活改善だけでは追いつかないケースが増えます。
こういう時に、薬はあなたの体を守るための“盾”になります。
決してあなたを縛るものではありません。
そして誤解しないでほしいのは、
薬を始めても「一生やめられない」わけではないということ。
生活改善で体の土台が整えば、
薬を減らす・やめるという選択肢が出てくることは珍しくありません。
実際に、わたしのサポートを受けながら薬を減らすことができた方を何人も見てきました。
「薬はあなたの未来を守る、もうひとつの選択肢」
と捉えることができた瞬間、心の緊張がふっとほどけ、体も安心したように変わっていきます。
薬を使う目的は“数字を下げる”だけじゃない
薬の目的は、「血圧の数字を下げること」ではありません。
本当に守りたいのは、
脳卒中・心筋梗塞・腎障害など“未来に起こりうる大きなトラブル”です。
つまり薬は、“数字のため”ではなく、
「あなたの未来の生活と人生を守るため」に存在しているのです。
「薬を味方にできると、心の景色が変わる」
これは、薬を始めた読者さんからよくいただく感想でもあります。
薬は敵ではありません。あなたの味方です。
必要なときに、必要なだけ使う。その柔軟な視点が、人生の安心感を大きく変えていきます。
次は、多くの方が気になるテーマ、
「50代・60代では基準が変わるの?」
という疑問を、科学と経験の両面から解説していきますね。
50代・60代で基準が変わる理由
「同じ150でも、若い人と中高年で何が違うの?」
「年齢とともに血圧が上がるのは仕方ないの?」
こうした疑問を持つ方は、本当にたくさんいらっしゃいます。
わたし自身、カウンセリングをしていると、
“数字そのものよりも、年齢による変化が不安なんです…”
という言葉を何度も聞いてきました。
でもまず伝えたいのは、
年齢によって血圧が変化するのは、とても自然な体のメカニズムだということ。
決して、「自分だけおかしい」「努力が足りない」などと責める必要はありません。
むしろ、体が年齢に合わせて静かに変化している──
それを知ることこそが、血圧とうまく付き合う第一歩なのです。
① 血管が“乾燥したゴム”のように硬くなりやすい
若い頃の血管はしなやかで、水を含んだゴムのように柔軟性があります。
どんな圧力がかかっても、やわらかく受け止めてくれるイメージです。
ところが50代を過ぎた頃から、血管は少しずつ硬くなり、
“乾燥したゴム”のように伸びにくくなっていくことが研究で明らかになっています。
すると、同じだけ血液が流れても、その圧力を逃がせず
血圧が上がりやすくなるのです。
これは完全に自然な変化で、誰にでも起こること。
「年齢は敵ではなく、体の変化を知るためのサイン」
と受け取れるようになると、とても気持ちが楽になります。
わたし自身、年齢を重ねるほど「体の声を聴く」ことの大切さが増していくと感じています。
② 女性ホルモン・エストロゲンの低下
特に女性にとって、
更年期は血圧が変わりやすいターニングポイントです。
血管のしなやかさを守るホルモンエストロゲンは、
更年期を境に大きく減少します。
その結果、血管が硬くなりやすくなり、
血圧が上昇しやすい体質へと変わっていくのです。
だから、50代後半〜60代の女性で血圧が上がるのはごく自然なこと。
「わたしだけがダメなんだ…」なんて、どうか思わないでくださいね。
これは“加齢による劣化”ではなく、
女性の人生の節目に訪れる体の変化なのです。
③ 自律神経の変化で“血圧のゆらぎ”が増える
加齢によって乱れやすくなるのが、
体のリズムを整える自律神経です。
自律神経のバランスが乱れると、
・朝だけ急に高い
・夜になると上がる
・日によって大きく変わる
など、血圧のゆらぎが生まれやすくなります。
この「ゆらぎ」があるからこそ、
家庭血圧の記録が重要だと言われているのです。
1回の測定では、体の本当の状態は見えてきません。
わたしもよく、読者さんに
「1回の数字で自分を評価しないでくださいね」
と伝えています。
④ 長年の生活習慣の積み重ねが表面化しやすい
・塩分の多い食事
・睡眠不足
・ストレス
・運動不足
・腸内環境の乱れ
若い頃には問題がなかった習慣も、
50〜60代になると“蓄積の影響”が表に出やすくなります。
だからこそ、わたしは常にこう伝えたいのです。
「この年代の血圧管理は“早く気づけた人ほど勝ち”です。」
どんなに小さな改善でも、血管はちゃんと応えてくれます。
そしてその変化は、何歳からでも始められるもの。
「体はいつからでも整えられる。年齢は関係ありません。」
これは、わたしが腸活やファスティングの指導をしていて何度も実感してきた真実です。
次は、読者さんから特に相談の多いテーマ──
「下の血圧(拡張期)だけ高いのはなぜ?」
という疑問をわかりやすく紐解いていきますね。
下の血圧(拡張期)が高い原因
「上は正常なのに、下だけ高い…これって大丈夫?」
「下の血圧が100近くあると何が問題なの?」
実は、この不安を抱える方は本当に多いのです。
カウンセリングでも、
「上はきれいなのに、下だけ高いってどういうこと?」
と何度も相談されてきました。
なぜなら、下の血圧(拡張期)は“心臓が休むときの圧力”だから。
心臓や血管がうまく休めていないと、下の血圧だけが上がることがよくあります。
わたしはいつも、
「下の血圧は、体の“休めていない度”のバロメーター」
とお伝えしています。
ここが高いとき、体は必ず何かを訴えています。
原因はいくつかのタイプに分かれるので、あなたの体のメッセージを一緒に読み解いていきましょう。
① 自律神経の緊張(ストレス・プレッシャー)
ストレス、焦り、イライラ、仕事での緊張…。
こうした感情はすべて交感神経を刺激し、血管をギュッと硬くする原因になります。
すると、心臓が休むはずの拡張期にも圧が下がらず、下の血圧が上がりやすいのです。
特に、真面目で責任感が強い人ほど、このタイプに当てはまりやすい傾向があります。
わたし自身、忙しい日が続いたときに下の血圧が上がっていた経験があり、
「心の緊張は静かに血管へ伝わる」
という言葉を身をもって感じました。
ストレスは目に見えないけれど、確かに体を動かしています。
だからこそ、自分の心を労わることは医療的にも大切なケアなのです。
② 肥満・内臓脂肪・インスリン抵抗性
内臓脂肪が増えると、血管を締めつけるホルモン(アンジオテンシンⅡなど)が増え、
下の血圧だけが上がりやすくなることが研究でわかっています。
脂肪って、ただの“蓄え”ではなく、体の中でホルモンのように働く存在。
そのため、増えるほど血管に圧力をかけ、血圧を上げやすくしてしまうんですね。
でも、明るいニュースもあります。
このタイプは、体重がほんの少し落ちただけでも下の血圧がスッと下がることが多いのです。
「たった2kgで血圧が変わった」
そんな声をいただくこともたくさんあります。
体は、気づいてあげるとちゃんと応えてくれるんです。
③ 塩分のとりすぎ・むくみ・血液量の増加
塩分をとりすぎると、体は血液を薄めようとして水をため込みます。
その結果、血液量が増え、下の血圧が押し上げられるのです。
特に外食や加工食品が多い生活の方は、知らないうちに塩分過多になりがち。
「下だけ高い」タイプの方の多くが、この影響を受けています。
塩分の調整は、薬に匹敵するほど効果が出ることもあります。
わたしも食事記録をサポートしていると、
「味付けを少し薄くしただけで下の血圧が下がりました!」
という嬉しい報告をよくいただきます。
④ 女性ホルモンの低下(更年期)
女性ホルモン・エストロゲンには、血管をしなやかに保ち、広がりやすくしてくれる働きがあります。
更年期以降、このホルモンが急激に減ることで、血管が硬くなり、下の血圧が上がりやすい状態になります。
この時期は、血圧だけでなく睡眠・気分・自律神経も変動しやすいため、
心と体をセットでケアする視点がとても大切になります。
女性の体は、人生の節目節目で大きく揺れます。
それを「不調」と見るか、「変化のサイン」と見るかで、心の軽さがまったく違ってきます。
⑤ 腸内環境の乱れ・慢性炎症
腸が乱れると、体の中で静かな炎症が続きやすくなり、
その炎症が血管にも広がって、下の血圧を押し上げることがあります。
「腸活で血圧が下がった!」という声が多いのはこのため。
腸が整うと、体全体がふわっと緩み、
血管がゆっくり深呼吸するようにしなやかさを取り戻すんです。
実際、腸内環境と血圧の関係は最新の研究でも注目されていて、
腸を整えることが血管の炎症改善につながることが明らかになっています。
下の血圧が高いとは、“心臓が休めていない”というサイン
下の血圧は、別名“からだの休息レベル”。
ここが高いとき、体は静かに訴えています。
・ストレスで走り続けている
・睡眠が浅い
・ホルモンが揺らいでいる
・血管が硬くなっている
・腸が疲れている
そんな体の声を、どうか少しだけ受け取ってあげてください。
「体は、あなたの言葉をずっと聞いている」
わたしが大切にしている言葉です。
体は、気づいてもらえた瞬間から変わり始めます。
小さな一歩で十分。
あなたの体は、その一歩をちゃんと覚えていてくれます。
次の章では、
薬と生活改善、どちらを優先すべきか?
多くの人が迷うテーマを、やさしく紐解いていきますね。
薬と生活改善、どちらを優先するべき?
高血圧と向き合うとき、多くの人が必ず一度は考えるのが——
「薬を先に飲むべき? それとも生活改善が先?」
という悩みです。
この問いに正解はひとつではありません。
むしろ、わたしはいつも
「あなたの体の“今の状況”によってベストな順番は変わる」
とお伝えしています。
薬も生活改善も、どちらかが良くてどちらかが悪いのではなく、
“役割が違うだけ”なのです。
これを理解できると、薬への不安や抵抗がスッと軽くなります。
① 160以上は“薬+生活改善”の同時スタートが最適
160以上のⅡ度高血圧では、すでに脳・心臓・腎臓にかかる負担が大きい段階と言われています。
日本高血圧学会でも、薬物療法の開始が推奨されるラインです。
とはいえ、
「薬を飲む=生活改善の意味がなくなる」
ではありません。
むしろ、薬で危険なリスクを減らしながら、
生活改善で土台を整えることで、血圧が安定するスピードが早くなるのです。
薬は“守る力”。
生活改善は“育てる力”。
このふたつが合わさったとき、体は驚くほど反応してくれます。
わたしはよくこう言います。
「薬はあなたの未来を守る、もうひとつの選択肢」
この視点を持てるだけで、薬への恐怖が少しやわらぎ、
“味方”として受け入れられるようになります。
② 150台は“生活改善+様子を見る”が基本。ただし個別性あり
150台の血圧は、まさに“分岐点”。
生活改善だけで下がりやすい人もいれば、薬を併用したほうがよい人もいます。
特に、次の項目に当てはまる場合は要注意です。
- 糖尿病・腎臓病がある
- コレステロール・中性脂肪が高い
- 家族に心筋梗塞や脳卒中の人がいる
- 家庭血圧が135以上で安定している
150台は「黄色信号」。
まだ危険ではないけれど、油断すると赤信号につながっていく、分かれ道です。
わたしがカウンセリングで感じるのは、
“150台の今”は、生活改善がとてもよく効くタイミングだということ。
塩分・睡眠・腸活を整えるだけで、するすると下がっていく方も多いです。
「数字に脅えるのではなく、数字から行動のヒントを受け取る」
そんな姿勢で向き合えると、前向きな気持ちが自然と育っていきます。
③ 140台は「生活改善が主役」。薬は“補助選択肢”
140台は、生活習慣を整えるだけでスッと下がりやすいラインです。
わたしの経験上、本当に変化が出やすいゾーンです。
特に整えたいのは以下の4つ:
- 睡眠の質
- 塩分調整
- 腸活
- 体重コントロール
この4つが整うだけで、血管がゆるんでくれるように血圧が落ち着きやすくなります。
焦る必要はありませんが、
放置するとじわじわ負担が積み重なるラインでもあるので、
「今、整えるチャンスなんだ」と捉えてあげると良い流れが生まれます。
「今日の小さな選択が、未来の血管を育てている」
これは、わたしが大切にしている言葉のひとつです。
④ “薬を始めたら一生やめられない” は誤解です
実際には、多くの方が
薬+生活改善 → 血圧と体質が整う → 医師と相談し薬を減らす・やめる
というステップを踏んでいます。
薬は「一生縛りつける鎖」ではなく、
必要なときにだけ持つ“守りの道具”です。
わたしのところへ来られた方の中にも、
生活改善を積み重ね、医師と相談しながら薬を減らすことができた方が本当にたくさんいます。
大切なのは、薬を悪者にしないこと。
薬はあなたを助けるために存在している——
ただそれだけのことなのです。
⑤ オートファジー×腸活は、生活改善の中でも効果が出やすい
腸が整うと、炎症が下がり、血管の柔軟性も戻りやすくなるため、
下の血圧(拡張期)が高いタイプの人は特に改善が早い傾向があります。
さらに、軽いファスティングや時間制限食は、
自律神経を整え、血圧の“ゆらぎ”も落ち着かせる助けになることが研究でも示されています。
わたしが腸活を広めたい理由のひとつがここで、
体が整っていくと、
「あ、わたしの体はまだよくなるんだ」
という希望がふっと芽生える瞬間が訪れるからです。
体はいつからでも整えられる。年齢は関係ありません。
これは、数えきれないほどの改善を見届けてきたわたしの実感です。
次は、最新のエビデンスが示す
“血圧と長生きの関係”
について解説していきます。
数字の向こうにある“人生の質”が見えてくると、血圧管理の意味がもっと深く腑に落ちていきますよ。
2025年ガイドラインから読み解く「血圧と長生きの関係」
血圧の数字に向き合うとき、わたしたちが本当に知りたいのは、
「どんな血圧でいると、長く、元気に、自分らしく生きられるのか?」
ただ数字とにらめっこしたいわけではなく、
「未来をどう守りたいか」を知りたいのだと、わたしは思っています。
ここでは、2025年の日本高血圧学会の考え方や、世界的な研究から見えてくる
“血圧と長寿の深い関係”を、やさしくひも解いていきます。
① 「130台を目指す」と長寿リスクが下がるという研究
アメリカの大規模研究・SPRINT試験では、
収縮期血圧を120台にしたグループは、心血管疾患のリスクが明確に低下した
という結果が示されました。
もちろん、誰もが120台を目指す必要はありませんし、
体質によっては低すぎるとフラつきや疲れやすさが出る人もいます。
でも、この研究が伝えてくれる本質は、
「130台に近づくほど、血管の負担は軽くなる」
というシンプルな事実です。
血管は、あなたが思っている以上に繊細で、そして素直。
日々の生活の積み重ねに敏感に反応します。
わたしがこれまでサポートしてきた方の中でも、
「130台を安定して保てるようになってから、体が軽く、気持ちまで前向きになった」
という声は本当に多いです。
「血圧が下がると、心の景色までも変わる」
これは決して大げさな比喩ではなく、
体と心が静かに連動している証拠なのだと思っています。
② 高齢者は“下げすぎない”ことも大切
一方で、70歳以上の方では、数字の目標が少し変わります。
研究では、血圧を過度に下げると転倒・ふらつき・腎機能の低下など、
別のリスクが生まれることが示されています。
そのため、2025年のガイドラインの方向性としては、
「年齢に合わせた最適な血圧をめざす」ことが重視されています。
つまり、
若い〜中年期:しっかり下げて動脈硬化を予防する
高齢期:安全性を優先し、生活の質を守る
という、ステージごとの血圧の向き合い方が必要になるのです。
この「年齢で基準が変わる」という考え方は、
わたしが大切にしている
“その人の人生に合わせた健康設計”ととても近いものだと感じています。
「ただ低くすればいい」ではなく、
あなたの体が心地よく生きられる血圧に整えていくこと。
それが本当の意味での健康です。
③ 血圧管理は「数字を下げる競技」ではなく「未来を守る習慣」
血圧という数字は、あなたの体を採点するものではありません。
ましてや、昨日の自分と今日の自分を比べて一喜一憂するためのものでもありません。
血圧とは、
“血管の健康状態を教えてくれるメッセージ”。
未来のリスクを予測するための、大切なシグナルです。
だからこそ、大切なのは数字の細かな上下ではなく、
あなたがどんな生活習慣を積み重ねていくかという点なのです。
- ストレスを減らす時間を意識的につくる
- 腸を整え、炎症をやわらげる
- 適度に体を動かして血流をよくする
- 質の良い睡眠をとる
- 塩分を控え、十分な水分をとる
これらはどれも小さな習慣ですが、
積み重なると血管のしなやかさを静かに育てていく力があります。
「毎日の小さな選択が、あなたの未来をつくる」
この言葉は、わたしが健康サポートをする上で最も大切にしている信念のひとつです。
健康寿命は突然伸びるのではなく、
今日のあなたの積み重ねによって、やさしく伸びていくのです。
次は、多くの読者さんが抱える疑問をまとめた
FAQ(よくある質問)へと進みます。
きっとあなたの不安が少し軽くなるはずです。
よくある質問(FAQ)
高血圧について、わたしのもとに寄せられる相談の多くは、
「数字の意味が分からない不安」から生まれています。
あなたもそうかもしれませんね。
ここでは、読者さんから特によくいただく質問をまとめました。
ひとつでも不安が軽くなり、
「数字とうまく付き合える自分」へ近づけますように。
Q1:150以上が続いています。薬は必要ですか?
150台は、専門的にいえば「黄色信号」のゾーン。
今すぐ薬というわけではありませんが、
身体がほんの少し「がんばりすぎているよ」と伝えているサインです。
特に以下のような場合は、薬を検討する優先度が高まります。
- 生活改善をしても下がらない
- 家庭血圧が135以上を安定して超える
- 糖尿病・腎機能低下・脂質異常などの合併症がある
150台は生活改善が大きく効くタイミングでもあります。
わたしの経験でも、ここで生活を整えると驚くほど下がる方が多いです。
「今ならまだ大きく変われる」そんな希望のあるステージです。
Q2:160をたまに超えるだけでも、薬を飲んだほうがいい?
「たまに160」という数字は、
身体が負担を感じているサインと考えてよいでしょう。
ただし、1回だけで判断するのは医学的にもNG。
信頼できる判断のためには、
- 家庭血圧を1〜2週間記録する
- 朝と夜で比較する
といった“数字の続き方”を見ることが大切です。
もし160が頻繁に出る・継続する場合は、
薬+生活改善が推奨されるラインに入ります。
160台は「赤信号」ではなく、
「ここは慎重になってほしい」という体からの強めのメッセージだと受け取ってくださいね。
Q3:薬を飲み始めたら一生やめられませんか?
いいえ、必ずしもそうではありません。
薬は、血管を守るための「補助輪」のような役割です。
生活改善によって体質が整えば、
・薬を減らす
・薬を中止する
という医師の判断が下されることは珍しくありません。
わたし自身、サポートの中で「薬を卒業できました!」という声を
何度も聞いてきました。
「薬は敵ではなく、あなたの未来を守るパートナー」
この視点を持てると、薬との向き合い方が柔らかくなります。
Q4:下の血圧(拡張期)だけ高いのは危険ですか?
拡張期の血圧は、心臓が休むときの圧力。
ここが高いということは、身体がうまく「休む」ことができていない証拠です。
背景には、
・ストレス
・自律神経の乱れ
・内臓脂肪
・塩分過多
・ホルモン変動
・腸内環境の乱れ
など、からだのSOSが潜んでいることが多いです。
危険というよりも、
“気づけば改善が早いタイプの高血圧”です。
身体が出してくれているサインに、そっと耳を傾けてみてくださいね。
Q5:家庭血圧と病院の血圧、どちらを信じるべき?
家庭血圧が基本です。
病院では緊張・姿勢・移動の影響で高く出ることが多く、
2025年の診療方針でも、家庭血圧の重要性がさらに強調されています。
朝と夜の記録を1〜2週間続けてみると、
あなたの体のリズムが驚くほど見えるようになります。
血圧は “1回の勝負” ではなく、“日々の流れ”を見て判断するもの。
これは、わたしが本当に大切にしている視点です。
Q6:塩分はどれくらいにすべきですか?
日本高血圧学会の推奨は
1日6g未満(高血圧の人はより厳格に)。
ただ、塩分は外食・加工食品に多く潜んでいるため、
「塩を減らす」よりも次のような工夫が実践しやすいです。
- 加工食品を減らす
- 出汁を使って薄味に慣れる
- ラーメンスープを飲み干さない
これだけで、体がふっと軽くなる人も多いですよ。
塩分ケアはシンプルだけど、とてもパワフルな改善ポイントです。
Q7:運動はどれくらい必要ですか?
特別な運動をする必要はありません。
むしろ、血圧管理で効果があるのは、次のような“続けやすい運動”です。
- 毎日20〜30分のウォーキング
- 軽めの筋トレ
- ゆったり深呼吸
血圧に必要なのは
「激しさ」ではなく「継続」。
あなたのペースで、心地よく続けられる方法を見つけてみてくださいね。
次の章では、これまでの内容をまとめながら、
「数字を恐れず、味方にするためのメッセージ」
をお届けします。
きっとあなたの心がふっと軽くなるはずです。
まとめ:数字を恐れず、数字を味方にするために
ここまで、2025年の高血圧基準、薬を飲む目安、
そして130・150・160という“気になる数字”の本当の意味を、
ひとつひとつ丁寧にほどいてきました。
読み終えた今のあなたは、
きっともう 「ただの数字」 ではなく、
「体が静かに語りかけてくるメッセージ」 として
血圧を見ることができているはずです。
わたしが何よりお伝えしたいのは、
「血圧は、あなたを脅かすためではなく、守るために上がる」
ということ。
数字はあなたを裁く存在ではなく、
「もう少し休ませて」「すこし整えて」
と体が出してくれている優しいサインなのです。
今日からできる “小さな血圧ケア” をまとめると…
難しいことはひとつもありません。
どれも “今のあなた” にできる、小さな優しさです。
- 睡眠を1時間だけ深くする工夫をしてみる
- 「塩を減らす」より、加工食品の回数を減らしてみる
- 腸を休ませる時間をつくり、軽いファスティングを取り入れる
- 歩く時間を1日10分だけ増やす
- 腹式呼吸で、自律神経をそっとゆるめる
- 朝と夜の家庭血圧を“自分を責めずに”記録する
これらはほんの小さな選択ですが、
血管にとっては「最高の投資」です。
今日の一歩が、半年後、一年後のあなたを静かに変えていきます。
「毎日の小さな選択が、血管のしなやかさを育てる。」
数字と仲良くなるという生き方
健康の世界では、数字がときに“怖い存在”のように扱われます。
けれど本当は、数字はあなたをジャッジするためのものではありません。
数字は、
あなたの体が今どんな景色を見ているのかを
教えてくれる、静かな通訳者のような存在です。
数字にふり回されるのではなく、
数字を味方にできたとき——
健康との向き合い方はやさしく、そして確実に変わります。
そして、ここまで読んでくださったあなたは、
すでにもう “数字を味方にするステージ” に立っています。
わたしはその変化を、とても誇らしく感じています。
「体はいつからでも整えられる。年齢は関係ありません。」
これは、わたしがこれまで多くの変化を見届けてきた中で、
揺るぎなく信じている言葉です。
次の章では、この記事で引用してきた
公的情報・医学論文・ガイドライン をまとめてご紹介します。
信頼できる情報を味方にしながら、あなたの健康づくりに役立ててくださいね。
参考文献(公的情報・一次情報)
この記事は、以下の一次情報・専門機関のガイドライン・国際基準に基づき作成しています。
-
厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-016.html -
日本高血圧学会(JSH)高血圧治療ガイドライン
https://www.jpnsh.jp/ -
WHO(世界保健機関)Hypertension Fact Sheet
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/hypertension -
SPRINT Research Group. “A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control.”
New England Journal of Medicine, 2015.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26551272/ -
その他 PubMed(国際医学データベース)より、血圧管理・降圧治療に関する一次研究を参照
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/
注意書き
・本記事は医学的エビデンスに基づいて構成していますが、個別診断・治療を行うものではありません。
・薬の開始・変更については、必ず主治医の判断を優先してください。
・家庭血圧の記録は、継続して測ることで正確性が高まります。
・体調の急激な変化や160以上が頻発する場合は、早めの受診をおすすめします。
あなたの未来の健康を守るために、正確な知識と“自分の体を大切にする選択”を育てていきましょう。



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